センターについて
about
リハセンだより第41号(2008年10月発行)
リハセン納涼祭
9月4日(木曜日)に納涼祭が行われました。
恒例のカラオケ大会をメインに、ゲームコーナーでもスカットボールや的をジュースにする輪投げなど新しい種目も取り入れました。
当日は残暑が厳しく納涼祭日和で、参加した患者・家族の皆さんは普段の入院生活とは違う楽しい一時を過ごすことができました。
リハセン認知症診療委員会主催:第2回認知症講演会について
去る7月11日(金曜日)にリハセン内講堂において、認知症講演会を開催しました。
認知症講演会は、当センターもの忘れ外来開設5年の節目である昨年に続き、今回で2回目の開催となります。
認知症に関わる施設職員の方々を対象とし、昨年度も会場定員いっぱいの参加をいただき、ご好評を得ましたが、本年度も開催案内直後からお申し込みが殺到し、通知から約2週間程度で申し込み定員に達したため、御参加いただけなかった施設職員の方も多数おり、ご期待に添えなかった方々へは紙面を借りてお詫び申し上げます。
本年度は、昨年度開催時のアンケートをもとに、施設の方々が日ごろどんなことで悩まれているのか、どんなことに不安を感じているのかに当センターの具体的な取り組みをご紹介できるような内容を演題としました。
精神科の佐藤医師による「認知症の拒食」では、食べないことと食べることができないことの違いなどについて、具体的な事例を交えた講演にはじまり、認知症病棟における実践を「認知症患者へのADL(日常生活動作)介助及び問題行動への対応」と題し、排せつ・食事・入浴の介助や、暴言・暴力・不潔行為・異食など問題行動への介入方法などをご紹介しました。
リハビリ部門からは、「作業療法の実際」として、作業療法士による体操などのリハビリメニューを会場の参加者と一緒に実践したり、「回想法について」として、心理判定員による心理療法の実際を映像等を交えてご紹介しました。
講演会終了後のアンケートでは、好意的なご意見はもちろん、もっとこんな内容に期待していたといった建設的なご意見も頂戴しました。
今回は当センターの取り組みをご紹介させていただく形式でしたが、認知症患者さんへの関わりは、病院や施設といった単位で区切られるものではなく、地域生活の場でも求められるものだと感じています。
いろいろな職種や立場の方々が関わるなかで「病院だからできるけど、施設では無理だ」とか、「施設ではできるけど、自宅では無理だ」などと線引きをすることなく、お互いがお互いの特徴や、それぞれの限界点を理解した上で、社会全体として患者さんを支えていくことが必要なのではないかと感じます。
そんなふうに地域で認知症の方々を支えていくために、各機関の方々はもちろん、患者さんを抱える御家族や地域の方々とも活発な意見交換ができる場として今後もこのような催しを引き続き開催していければと思っています。
最後になりますが、お忙しいなか、遠方の施設からも多数御参加いただき、誠にありがとうございました。
心の健康コーナー:第4話『心の風邪:うつ病』
その5:治療のポイント
治療のことをお話しする上で始めに取り上げたいのはうつ病の本質は何かということです。脳内の物質(神経伝達物質)の機能バランスの乱れであろうということが広く言われており、様々な研究が進んでいますが、学問的には色々難しいことが多いようです。私は、わかりやすく、割り切った形で説明するようにしています。
「脳が疲弊してしまった状態です。いわば、電池がきれかかった状態です。今は心と体のあちらこちらの具合が悪く重症だろうと思えるかも知れませんが大丈夫です。活動エネルギーを再充填すれば元通りになります。」
事実と、当たらずといえども遠からずのたとえ話だと思っています。
ですから、治療のポイントはエネルギーの再充填をいかに効率よくするかということだと思います。箇条書きにします。
- 仕事は思い切って休んだほうが治りやすいと思います。期間は3カ月から6カ月位みるべきです。通院か入院かはケースバイケースです。家庭の主婦は自宅では休めないことが多いので、実家で休むなり、入院するなりしたほうがよいことが多いと思います。
- 精神的安静が基本です。自分を試したり、訓練したりする人が多いのですが、いずれも逆効果です。但し、回復が進んでくれば、身体を安静にしている必要はなく、体力づくりも適宜行ってかまわないことが多いと思います。
- 治った後は復職なり、自宅にもどるなりします。本格的に動き出す前に「慣らし運転」の期間を設けた方が順調に行きやすいようです。なお、症状がすっかり消えた後も最低6カ月は再発防止の服薬が必要です。
なお、昇進うつ病の場合、治癒後にもとの職場にもどすべきか否かが問題になりますが、これもケースバイケースです。昇進後の立場にもどすことがまた同じ負担を与えて再燃につながる場合もありますし、配置転換が本人へ左遷との誤解を与え、失望を強めたり、新しい職場への再適応のために多大なエネルギーを使うことになり、病状が再燃するきっかけとなることもあります。主治医と相談する必要があるでしょう。次回、うつ病の自殺について触れてうつ病のテーマを終えます。
(所長:小畑 信彦)
365日訓練体制の充実に向けて
2008年5月から機能訓練科の理学療法部門(PT)と作業療法部門(OT)では、4病棟と5病棟に入院されている方々を対象とした土曜日、日曜日、祝日訓練(365日訓練)を開始いたしました。5月はPT、OT各病棟1名から2名の出勤で対応いたしましたが、6月からはそれぞれの病棟でPT、OT各2名ずつ計4名の出勤で訓練を実施いたしております。休日に訓練を受けられる方は、原則としてPTかOTのどちらかを受けていただいております。外泊される方や体調の思わしくない方などは訓練がお休みとなってしまいますが、その他の方々には参加していただいております。交代勤務となるため、平日の訓練と異なり担当のPTやOT以外のスタッフが訓練を行う場合も多く、訓練を受けられる皆様にはご不便をお掛けすることもありますが、何卒ご容赦下さいますようよろしくお願いいたします。
訓練を受けられた方々からは「休みの日も訓練ができて嬉しい」等の声も聞かれ、365日訓練への反響は概ね良好と受け止めております。また休日を利用して面会にいらした御家族の方々などの訓練見学も平日よりは多い印象で、その場をお借りして介助方法の指導をさせていただくことが出来た方もおりました。今後はより充実した365日訓練を実施するために、9月からは本年度の新規採用職員も参加する予定で人員配置等現在検討いたしております。また訓練内容や頻度等も訓練を受けられる方々がより満足いただけるよう工夫して参ります。
所長就任にあたって
小畑 信彦
新任のご挨拶を申し上げます。2008年10月1日から所長となりました小畑 信彦でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
当センターには、達成されるべき目標、解決されるべき課題は数多く存在すると考えますが、身近に迫った最大の課題は来年春を目指して準備が進められている独立行政法人化の問題です。独立行政法人という新しい制度による運営形態により、機動的で弾力的な病院運営を行い、より充実した医療サービスをお届けできるのではないかと期待しております。
さて、高齢化が進行し、社会構成員のかなりの部分は高齢者により占められる状況が続く現代、脳血管障害などによるリハビリテーションが必要な人々が多く存在します。加齢とともに認知症となる方も増えています。また、IT化、国際化等による社会の複雑化、労働に適した年齢層減少による経済的困難等が重なり、高ストレス社会が強まるおそれが強い状況です。リハビリテーション医療、認知症医療、(一般)精神医療などに特化した医療を展開する当センターの役割はますます大きくなるものと予想されます。
当センターの役割を十分に果たすために、いろいろな立場の方からの意見を伺いながら、職員の力を最大限に発揮できるように工夫し、一歩、一歩、進んでいきたいと考えております。ご指導、ご支援のほどお願い申し上げます。