センターについて


about

リハセンだより第23号(2004年4月発行)

精神科救急医療と看護師の役割

リハビリテーション・精神医療センターは、1997年6月1日の診療開始と同時に日中や休日の精神科救急診療と入院対応を行ってきました。1999年1月1日からは、応急入院の指定を受け応急入院に対する24時間対応を行っています。また、2000年6月1日から稼動し始めた秋田県精神科救急医療システムにおける精神科救急の全県拠点病院として指定を受け、午後9時までの夜間救急患者の受け入れに取り組んでまいりました。更に、2002年度からは、24時間体制で救急患者の受け入れに取り組み、その実績として休日、祝日、夜間の外来受診患者数は82名でした。その内の44名は救急入院となっています。同時に、127件の電話相談があり救急担当の看護師が対応しております。

昨今、社会の(複雑化から)ストレスが増強し精神疾患が確実に増加していると言われています。このような状況からみても今後、当センターに対する県民の期待は大きいものと思われます。当然、精神科救急医療での看護師の役割が重要になります。当センターは、いわば精神科3次救急を担っており、救急システムで来られるのは入院を前提に受診される方々が殆どです。家族の同伴はもちろんですが、警察や保健所が介入した上での受診者も多いのです。救急受診される主な状態像としては、幻覚妄想による自傷他害、興奮、滅裂、不安焦燥、躁、鬱、昏迷状態などが特徴的な症状です。

救急担当看護師は、患者さんが来院した時の対応として、正確な状況把握を行います。患者さんが病院にいることを印象づけ、冷静沈着な態度で対応し言葉掛けを忘れずにおこない、患者さんの不安を和らげるような心掛けが必要になります。たとえば、病院であることを説明し水分摂取を促すことや、身体の清潔面や衣類の乱れを整えるなどの関わりが、診察をスムーズに行うのに効果があります。急性期の患者さんは、上記のような症状からして、病識のないことが多く、入院への恐れや隔離される不安と社会復帰への不安などのため入院を拒否する場合が少なくありません。このようなことから、入院後の治療関係を良好に保つため当センターの担当医師は、入院の必要性を十分に時間をかけ説明することを心がけています。看護師は、診察介助を行うことはもちろんですが、表情や動作、声の大きさや調子、話し方、視線の動きなど言葉以外に患者さんが表現していることを観察し、患者さんの気持ちを理解することが精神科救急診察でとても重要なことなのです。

患者さんに安心感を与え、病気の世界から現実の世界にもどりやすくなるためのサインを送りつづけることが精神科看護師の大きな役割のひとつなのかも知れません。今後とも秋田県の精神科救急の全県拠点病院として充実を図っていきたいと思っています。

(副総看護師長:福岡 幸記)

ネイチャーウオッチングinリハセン(リハセンで見かける自然その3)

写真:エレンダニカ

今回紹介する「エレンダニカ」はリハセンのアトリウムの中でも株数の多い植物のひとつです。前に紹介した「スパティフィラム」や「ベンジャミンゴム」のように目立った存在ではありませんが、光沢のある切れ込みが美しい葉が特徴の植物です。

原産地は西インド諸島、南米北部といった熱帯、亜熱帯であるため、冬でも10度以上のなるべく暖かい場所で育てる必要があるようです。また、夏は強い日光よりも弱い光を好むため、アトリウムはエレンダニカにとって居心地のいい環境といえるでしょう。

薬と食事について

薬と薬の相互作用はよく知られていますが、薬と食べ物の間にも相互作用があります。食べ物に含まれている物質が薬に影響を与え体に良くない作用を起こすため、薬と食べ物の関係を知ることは大切です。今回は、リハセンで比較的多く使用されている薬に影響を与える食べ物や嗜好品について紹介します。

薬と食べ物について:ワーファリンはビタミンK類似構造のクマリン誘導体で心筋梗塞や脳塞栓等の治療及び予防に使われる抗血栓薬です。ワーファリンはビタミンKに拮抗しビタミンK依存性血液凝固因子の生合成を抑制して、血液を固まりにくくします。納豆菌はビタミンKを合成しワーファリンの血液を固まりにくくする作用を抑制するため、ワーファリンの抗血栓作用が弱くなります。クロレラには豊富なビタミンKが含まれているため、ワーファリンの作用が弱くなります。ワーファリンを飲んでいる方は、納豆とクロレラを控えることが必要です。

バイアスピリンは血小板の働きを抑えることで心筋梗塞や脳血管障害による血栓形成を予防する薬です。腸溶錠のため腸で溶け、抗血栓作用をあらわします。牛乳は胃酸を中和するため、腸で溶けるはずのバイアスピリンが胃で溶けてしまい、作用が弱くなったり、胃をあらしたりします。牛乳でバイアスピリンを飲むことは避けることが大切です。

血圧を下げる薬の中にカルシウム拮抗薬と呼ばれるものがあります。グレープフルーツジュースは多くのカルシウム拮抗薬の代謝を抑制するため、カルシウム拮抗薬の血圧を下げる作用が強くなることがあります。グレープフルーツジュースでカルシウム拮抗薬を飲むことは避けるようにして下さい。

薬とお酒について:お酒を飲むと頭がさえるような感じがしますが、実際には、お酒は脳の働きを抑える作用があります。睡眠薬も脳の働きを抑える働きがあります。そのため、お酒を飲んだ後に睡眠薬を飲むと、脳の働きが抑えられてしまい、記憶が無くなったり、めまいや頭痛等の副作用が現れる場合があります。ひどい場合には、呼吸が抑制されることもありますので大変危険です。お酒を飲んだ直後やお酒で睡眠薬を飲むことは絶対避けるようにして下さい。

薬とタバコについて:タバコの煙にはニコチンや発癌性物質を含むタール等が含まれています。そのため、肺ガンを初めとする各種のガン、循環器疾患および気管支喘息の危険因子と考えられています。また、体に取り込まれた煙の成分が薬の代謝を亢進するため、タバコは薬の効果を低下したり、効き目の持続時間を短くします。糖尿病患者さんではニコチンが血糖を上昇させるため、インスリンの血糖を下げる作用が弱くなります。テオドールという喘息の薬は、タバコにより肝臓での代謝が亢進されるため、気管支拡張作用の持続時間が短くなります。このように、薬によっては、タバコの影響をうけるものもありますので、受診の際には、喫煙の有無やタバコの本数について正直に答えるようにして下さい。

薬には飲みあわせの悪いものがあり、それが薬と食べ物だったり、薬と薬だったりします。薬についてわからないことがありましたら、医師や薬剤師に相談することが薬とうまく付き合う1つの方法です。

(薬剤科・薬局長:中道 博之)

「リハビリって」

4年前、脳外科単科病院で働いていた。平均在院日数が十数日と短く、当時最先端の治療をしていた。そんな頃出会った人の話をしたい。60代のその人は、脳出血で入院し、穿頭血腫除去術後、重度の右片麻痺が残り、車いすで退院していった。特別な経過ではなく、見送ると思い出すこともなかった。

2カ月経ったある日、病棟で看護師が騒いでいるのを耳にした。どうだろう、階段をその人が登ってくるのだ。杖をつき長下肢装具をつけて。登りきり満面の笑みを浮かべる姿を目の当たりにし、私は大きな衝撃を受けた。

リハビリテーション科に転向したのはその翌年。当リハセンでは2003年10月から半年間勉強させて頂いた。リハビリチームにしかできないことが沢山あることを改めて実感した。ありがとうございました。

(リハビリテーション科研修医:福村 直毅)

ページトップへ戻る