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リハセンだより第30号(2006年1月発行)

ドンパン体操で新年を

千田 富義

新年明けましておめでとうございます。

今年は介護保険制度の改定と健康保険制度の改定が同時に行われる滅多にない年です。皆既日食と月食が同時に見られる年のようなものです。それだけに両制度にわたる大がかりな改定になるとも言われています。医療費抑制も改定の大きな柱になるとのことですので、私たちの今後の医療の進め方がどうなるのか不安も抱いております。

今回の両制度の改定のうち、リハセンと関係の深いものの1つに介護保険制度の新予防給付があります。なかでも、高齢者の筋力を向上させるための筋力向上トレーニングの新設はまさにリハセンの守備範囲のテーマで、少なからず関心を持っております。高齢者が種々の機会に筋肉トレーニングを行って、健康な生活を保つことは非常に大切なことと考えています。

秋田県では高齢者の健康を向上させるため、健康福祉部に高齢者健康づくり推進チームを昨年新たに発足させました。スーパー高齢者から要介護高齢者まで幅広く高齢者のための健康推進の企画を検討中であります。そのチームから高齢者が簡単にできる体操を考えて欲しいという依頼がリハセンに参りました。そこで、数カ月かけてリハセンで考案したのが題名にあるドンパン体操です。

ドンパン体操に期待したのは、体操を他の人に頼らず自分で行い、1日の日課に組み入れて健康増進を行うことでした。私たちの研究では、病院にリハビリテーションに通う日数が多くても少なくても能力の維持にはあまり関係ありませんでした。むしろ、自宅で自主的に行う訓練回数が能力の維持に重要で、訓練回数が多い人ほど能力の低下は目立ちませんでした。何よりも、お家で、自分で取り組む体操になればと願っております。

それから、10分近くの体操にすることにこだわりました。これも私たちの脳卒中患者さんの調査では、1日30分、週3回以上訓練する人がそれ以下の運動量の人より能力の維持が優っていたのです。そこで少々長めの体操にすることにしました。1度試して頂けると心地よく汗ばむ感じがよくわかります。もちろん、1日30分の運動を目指して、散歩をしたり、この体操を午前と午後に行うなどの工夫も必要となります。体操以外の運動についてはまた知恵を絞ってみたいと考えています。

この体操は、1日の日常生活を息切れしないで、1日の終わりにくたくたの状態にならない体力を保つことと、転倒しないように足腰を鍛えることを目標としています。体操の間おなじみのドンパン節が流れますが、これはバックグラウンドミュージックのつもりです。体操にかけた思いをくみ取って頂きながら、是非一度お試し下さるようお願い申し上げます。

今年は、リハビリテーション医療、精神医療、痴呆医療でも、これまで以上のサービス向上を目指して頑張ろうと考えています。皆様のご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

毎日続けよう!「ドンパン体操」目標1日30分

イラスト:ドンパン体操の説明

業務紹介:機能訓練科(心理部門)

写真:機能訓練科内、心理判定部門のスタッフ

機能訓練科内、心理判定部門のスタッフは3名で、外来、病棟、デイケアと広範囲の業務を担当しています。その仕事内容は、心理査定(脳血管障害後や痴呆性疾患の高次脳機能の精査、鑑別診断や病態把握のための各種心理検査)と心理療法(個人心理療法、SST、回想法)、他にデイケア利用者の家族に対する心理教育プログラム(家族教室)の開催をデイケアスタッフとともに行っています。

他職種のスタッフと一緒に患者様を支えるチームの一員として、患者様本人や家族の力をより引き出せたらいいなあと思っています。

シリーズ放射線その3

自然から受ける放射線とは?

私達地球上の生物はみんな放射線のある環境で生活し進化してきました。例えば大地は色々な天然の放射性同位元素を含んでいて放射線をだしています。ジェット機の中では上空に行くと放射線の1種である宇宙線が強くなり、東京からニューヨーク間の航空機旅行は往復で約0.19ミリシーベルト(放射線の影響を表す単位)の放射線を受けています。また食事等により身体の中に入る天然の放射性同位元素などもあります。これらを全て統合すると、人の身体は1年間に世界の平均で約2.4ミリシーベルトの放射線を受けています。ちなみにブラジルやメキシコでは自然界から年間約10ミリシーベルトの放射線を受けています。

集団検診による胸のX線撮影では1回あたり約0.05ミリシーベルト、胃のX線検査では約0.6ミリシーベルトの放射線を受けます。従って、検査の際に受ける放射線の量はごく微量であり心配ありません。

編集後記

新年明けましておめでとうございます。
今年も大雪で大変ですが、怪我や事故のないように過ごしましょう。
今年もリハセンだよりをよろしくお願いいたします。

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