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リハセンだより第34号(2007年1月発行)

開設10年目を迎えて

所長:千田 富義

新年明けましておめでとうございます。

リハセンが1997年6月に診療開始してから10年目になりました。全く白紙の状態から何とかここまで来れたのは、県民の方々のご指導、ご鞭撻と温かい励ましがあったからこそと感謝しております。

まだまだ不十分な点は多いにしても、リハビリテーション医療、精神医療、痴呆医療の3領域で着実に医療の質を向上させてきた10年であったと考えております。10年目に当たってリハセンが今後どのような道を歩むべきかを列挙してみました。

身体障害の回復を目指すリハビリテーション医療では、発病して急性期治療が終わった患者さんの機能回復と、自宅や施設の生活で生じた廃用症候群の治療の2つをリハセンの役割と考えています。この役割を充実させるために一層効果的な診療体制を確立することが課題です。とくに、在宅障害者の方に機能低下が生じた場合の再入院リハビリテーションに力を入れる必要性を感じております。

一方、在宅障害者の方に機能低下が起こらないよう予防するためには、機能低下を見逃さないように時々運動機能や知的機能を検査する体制と、必要とする運動の種類と量を適切に指導する体制が必要です。このような体制はリハセンだけでは完成させることはできませんが、関連の機関や地域の方々と相談しながら作っていくつもりです。これは現在介護保険制度の中で強調されている介護予防への医療機関からの働きかけになります。

精神医療では、重度障害を持っている方や対応困難な方への短期集中的治療を充実させることが課題です。急性期の患者さんへの短期集中的治療はこれまでも大きな目標であり、入院期間は大分短縮されてきています。今後も診療技術の向上を図り一層の効率化を追求していきます。

精神疾患に対しては政策として進められている様々な医療があります。県立精神病院としてのリハセンは今後も政策的な医療に積極的に取り組むつもりであります。現在、秋田県精神科救急医療システムの全県拠点病院、心神喪失者等医療観察法の指定通院機関などに指定されております。それぞれの事業には解決すべき課題はまだ多いのですが、システムのあり方などについて検討してより効果的な体制を検討していきます。

認知症医療では、まだ一般的でない認知症医療の技術を高め、根拠ある治療を確立させることが大きな課題であります。この10年間にリハセンでも種々の体験や研究を通じて知識や技術の集積が進んできております。今後とも認知症医療を発展させる課題にリハセンとして積極的に関わっていきます。

認知症のケアでは、医療、福祉、行政の協力が必要であります。そのようなシステムの確立に医療機関として参加していくことも重要な課題であります。物忘れ外来設置、医療相談、電話相談など行っているのも患者さんの便を考えるのと同時に関連領域との連携を考えてのことであります。認知症のことならリハセンに相談すれが何とかなるといわれることを目指しております。

以上、今後のリハセン医療の抱負を述べさせて頂きました。「愚公山を移す」の例えの如く、歩き続ければ必ず辿り着くという心境でおります。今年も1年よろしくお願い申し上げます。

地域リハ検診・相談事業の紹介

1999年度より、「地域リハ検診・相談事業」を実施していますが、これは、寝たきり予防検診として市町村との連携により実施し、寝たきり患者の減少に努めるとともに、患者様及び家族の負担を軽減していくことを目的としています。

対象者は、脳卒中・外傷・神経筋疾患などにより、日常生活に不便を感じている方及びその心配のある方です。

検診は、10メートル歩行速度・筋力・バランス等の運動機能検査、長谷川式簡易スケールによる知的機能検査、診察を行っていますが、日を改めて実施する報告会では、検診結果の報告と所長からの講話があります。

今年度は大仙市の「ありすの街」・「やすらぎの里」の御協力をいただき、デイサービス利用者を中心に実施しましたが、実施地区の拡大を検討中ですので、興味のある施設さんは御相談ください。

(医療相談室:鈴木)

作業療法・作品紹介2

写真:テッシュケースとメガネ立て

6病棟(認知症病棟)に入院している患者様の作品です。

作業療法では集団でのレクリエーション活動と、患者様の能力に合わせた個別の作業を行っています。

この作品は箱を組み立てるために説明書を読んで理解する必要があります。また箱に丁寧に和紙を貼っていく過程で集中力と指先の細やかさが要求されます。すべての工程を1人で行うのは難しかったのですが、作業療法士と一緒に助言を受けながら楽しんで作りました。

リハセン運動会・クリスマス会

リハセンの恒例行事、運動会とクリスマス会が2006年10月19日と2006年12月14日に行われました。

運動会では実行委員が考えた楽しい競技に患者様、職員共に大いに盛り上がりました。

クリスマス会もたくさんのボランティアの方々に来ていただき、素敵な歌や演奏、ちびっ子たちのダンス等、楽しい一時を過ごすことができました。

運動会

クリスマス会

写真:クリスマス会1
写真:クリスマス会2
コーラス、コールシャホーの皆さん、
素敵な歌声でした
写真:クリスマス会3
幼稚園のちびっ子たち、
元気いっぱいのダンスを
披露してくれました
写真:クリスマス会4
花がけ会の皆さん、
毎年ありがとうございます
写真:クリスマス会5
今年はサンタと一緒に素敵な女神さまも登場!
果たしてその正体は

職場紹介:機能訓練科(言語聴覚療法部門)

写真:言語聴覚士

言語聴覚療法部門では言葉、聞こえ、摂食嚥下に障害のある方の検査をし、言語機能の改善・代償方法を工夫するなどの訓練を行っています。また、ご本人やご家族の方にコミュニケーションを上手にとるための助言や指導を行っています。

「言語聴覚士」という名称は比較的新しく、国家資格になったのは1999年です。現在、全国では1万人以上の有資格者がおります。

秋田県でも2004年6月に言語聴覚士協会が成立され、現在まで60人の言語聴覚士が登録しています。数字でみるとおり、秋田県での言語聴覚士数は不足しており全くいない地域も少なくありません。

そのため当センターには全県から患者様が訓練のために入院されますが、言語聴覚士は2名しかいないため、患者様お一人お一人に対して十分な時間がとれないのが現状です。

少ない人数ではありますが、エネルギッシュに頑張っておりますので、よろしくお願いします。

シリーズ理学療法3

物理療法について

皆さんがリハビリテーションをしていく中で、痛みのために動けないことがあると思います。そういった時、私達理学療法士は痛みをとる手段として物理療法を用います。物理療法にも温熱療法、寒冷療法、光線療法、電気刺激療法、水治療法、牽引療法と様々あります。全てについては紙面の都合上難しいので、今回はよく使われる温熱療法に絞ってご説明いたします。

私達日本人は古くから「温泉」を治療の手段として用いてきました。現在でも日本各地には多くの湯治場があり、様々な病気の治療を目的に多くの人々が利用されています。このような温泉療法の発展は、私達が温泉成分の効能とともに、温泉のもつ温熱効果すなわち「身体を温める」という効果に期待してきたことが大きく影響していると考えられます。

身体を温めると(1)痛みを和らげる、(2)筋肉のコリをとる、(3)筋肉や腱を柔らかくする、(4)新陳代謝を向上させる、(5)血のめぐりを良くする、といった効果があると言われています。しかし、(1)ケガの直後で炎症や腫れがひどい時、(2)血のめぐりがあまりにも悪すぎる時、(3)熱さを感じにくいところなど、温めてはいけない場合があるので注意が必要です。私達理学療法士は、皆さんが痛みの無い状況で動いていただけるようにお手伝いしたいと思っています。温熱療法といっても沢山の機器があり、それぞれに長所、短所がありますので、詳しいことは担当の理学療法士にご相談ください。

編集後記

あけましておめでとうございます。

リハセンだよりを今年もよろしくお願いいたします。

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