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「今、とんでもない法律案が審議されています」の続き(2013年6月掲載)

4月の原稿で「今、とんでもない法律案が審議されています。」という原稿を掲載しました。これは、その続きです。

前回は刑事法の改正(自動車運転に係わる死傷事犯関係)の動きについてお知らせしました。これは、それと関係しますが、法律的には別の動きについてお知らせします。

今国会で道交法改正案が可決されました。5月17日に参議院本会議で可決、6月7日に衆院本会議で可決、成立したものです。今回の道交法改正は車の運転に支障を及ぼす可能性のあるてんかんや統合失調症などの病気の患者が、免許の取得や更新時に病状を虚偽申告した場合の罰則を新設することを盛りこんだものです。

この改正により、病状の虚偽申告に関する罰則が設けられ、「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」が課せられることになりました。また、診察した医師が患者の病状を都道府県の公安委員会に任意で提供できるとする規定も設けられました。

この道交法改正そのものに関しても、何故、一部の病気だけが特別に注目、監視されなければならないか、疑問がありますが、これはこれで一種の理屈は通っていると思います。嘘をつくのは良くないことです。ただし、患者さんが正直に申告したばかりに解雇されて、家族とともに路頭に迷うことがある現実はどう考えるべきでしょうか。対象とされる病気には一種の偏見が社会にあり、それによる不利益を避けるために、患者さんがやむを得ず、それを隠す現実を無視してはいけないと思います。それに関する手当がなされるべきであることを主張したいと思います。

また、始めに触れた刑事法の改正は論外です。4月にも述べた様に、この改正案は科学的な事実を無視し、法律の効果も対象となった患者さんを苦しめるだけで、事態の改善に役立たないのは明らかです。法律の改正というと難しい事ですので混乱しやすく、全て決まってしまったように誤解されがちですが、今回、決まったのは道交法だけです。刑事法の改正についてはまだ決まったわけではありません。刑事法の改正に対しては、これからも注意を払い、反対し続ける必要があります。皆さんのご理解とご協力を期待します。

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