2002年度、新規採用および転入職員に向けて

いつもより早く訪れた春の日に、リハセンに新しい仲間を迎え入れることができ、職員一同心から歓迎致します。他の部局から転入の方々、新規採用の方々には、従来の職員と力を合わせてご活躍されることを願っております。また、昇任された方々にはお祝いを申し上げ、今後のご精進を期待しております。

さて、自治体病院は2つの面から経営的な困難に晒されています。1つは地方自治体の行財政改革の一端としての経費、職員の削減によるものであります。もちろん秋田県も例外ではありません。もう1つは医療費抑制を図る医療制度改革、診療報酬改定によるものであります。都道府県の中には自治体病院の統廃合を模索する所もでています。このような状況の中で、私たちは、(1)センター設立の原点に立ち返り、センターが目指すものを再確認すること、(2)さらに、情報収集に力を入れて医療情勢の変化に適切に反応すること、が重要であります。つまり、原則を堅持しながら、状況に柔軟に対応することです。基本的立場を職員全体で共有できれば、少々の困難は必ず乗り越えられると考えています。その点を踏まえながら、いくつかのお願いをさせて頂きます。

第一は目標あるいは使命の問題です。自治体病院は地方公営企業法で、公共性と経済性が強調されています。公共性とは、地域住民にとってなくてはならない公共的な医療活動で、かつ民間病院が行い難いことに積極的に取り組む側面です。離島の診療、不採算医療などがその例となります。経済性とは、そのような事業であっても経営的努力を怠ってはならないという側面であります。公共性に関して言えば、医療制度の改定、介護保険制度の新設などによって、患者さんのニーズは変わりつつあります。患者さんが今何を求めているのか、それに対して自治体病院でなければできないことは何か、それを実現する場である職場では何をすればよいのか、それぞれの職場で考えて欲しいと思います。たとえば、職場における患者サービスの新しい工夫などはこれにあたります。新たな検討を基に、現時点でのセンター全体、各職場の使命、目標が明確化されれば、センターの大きな力となります。理念、目標の整理は病院機能評価の大きな課題での1つもあります。

第二に、経済性の問題です。今日から実施される診療報酬改定は当センター規模の病院で収入減が大きいとされています。多くの自治体病院が収入減を防ぐために様々な経営努力をしている中で、当センターだけがその努力を免除される訳がありません。早急にセンターの収入減がどの程度かを調査し、その上で事業のあり方について議論するつもりであります。事業として無駄や非効率がないかどうかを各職場ごとに検討して頂きたいと思います。また、診療報酬請求での3大問題である請求漏れ、返戻、未徴収を減らすこと、とくに請求漏れの防止は収益管理上のポイントであります。請求漏れをなくすには、その意識を持つかどうかが重要です。新しい診療報酬点数について各職場でのチェックをお願い致します。

第三に患者さん中心の医療についてです。今回の診療報酬改定、今年10月と来年4月に予定されている医療制度改革の目的の1つが患者さん中心の医療です。患者さん中心の医療とは、医療機関が患者さんに充分配慮して医療を行うと言う意味ではなく、患者さんが医療機関を選択可能にすることです。医療機関からいえば、患者さんに選ばれる病院でなければ見放されることになります。選択されるには、接遇を改善することが非常に重視されます。職員に接して不愉快になれば、その病院を敬遠したり、何かのトラブルのときに悪影響を与えることがあります。接遇はリスクマネージメントの課題でもあります。医療部職員の方々はもちろん、事務部職員の方々にも十分配慮頂きたいと考えます。医療情報開示、インフォームドコンセント、安全性の確立なども選択の判断材料となります。また、これからは患者さんが治療成績の提示を求めて、その成績で医療機関を選択するという時代になります。資料提示ができなければ、患者さんから選択されないことになります。診療実績などの臨床データを準備することを関連部署で検討して頂きたいと思います。

第四に今年度予定している病院機能評価についてです。第三者による病院機能の評価は病院の診療機能、安全管理、患者さんへのサービスなどの向上させる上で有用なもので、多くの病院がこれを受けようとしています。私たちの診療行為が他に比べて劣っていないことは間違いありませんが、外部の眼で評価することも必要なことです。管理会議では、各科長・班長と各科1-2名の科員・班員でワーキンググループを発足させ、4月中に第一回目の会議を持つつもりであります。また、今月中に日本病院機能評価機構が開催する説明会に出席することにしております。全職員のご協力をお願いいたします。

以上、いくつかのお願いを述べさせて頂きました。厳しい情勢ではありますが、1つ1つの課題を着実にこなすことによって道は拓けると考えております。今年一年、リハセンの発展のために各職場のこれまで以上の努力をお願いしまして挨拶と致します。

(2002年4月1日、『平成14年新規採用・転入職員発令式にて』所長、千田富義)

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